- きみ
- I
きみ【君】※一※ (名)(1)(ア)国を治めている人。 天皇。 「万乗の~」(イ)自分の仕えている主人。 主君。⇔ 臣「~に忠義を尽くす」(2)人に対する敬意を表す。 (ア)目上の人や貴人を敬っていう。
「人はしも満ちてあれども~はしも多くいませど/万葉 3324」(イ)女性が親しい男性をいう。 「~待つと我(ア)が恋ひ居れば/万葉 488」(ウ)人名・官名などに, 多く「の」「が」を介して付き, その人を敬う意を表す。 「師の~」「源氏の~」
(3)〔中世・近世語〕遊女。 遊君。「一生連添ふ女房を~傾城の勤めをさするも/浄瑠璃・忠臣蔵」
(4)(「公」とも書く)古代の姓(カバネ)の一。 もと, 地方豪族の首長の尊称。※二※ (代)二人称。 相手を親しんで呼ぶ語。 現代語で, 男性が同輩およびそれ以下の相手に対して用いる。「~僕の間柄」「~も一緒に来ないか」
〔※二※ は, 上代では女性が親しい男性を尊んで呼ぶことが多く, 中古以降は男女ともに用いた〕~君(キミ)たらずとも臣(シン)臣たらざる可(ベ)からず〔古文孝経(序)〕君は君たる徳がなくとも, 臣は臣たる道を守って忠義を尽くさなければならぬということ。~君(キミ)たり臣(シン)臣たり〔論語(顔淵)〕君臣それぞれその本分を尽くすということ。 また, 君がその道を行わなければ, 臣もまたその道を尽くさないの意にも用いる。~辱(ハズカシ)めらるれば臣(シン)死す〔国語(越語下)〕主君が恥辱を受ければ, 臣たる者は死を決してその恥をすすがねばならぬ。 臣は君主と生死苦楽をともにすべきである。~は舟、臣(シン)は水〔荀子(王制)「君者舟也, 庶人者水也。 水則載舟, 水則覆舟」〕常には主君を支え助ける臣が, ときには君主に害をなすこともあるという意。IIきみ【気味】(1)心身に感ずる, 快・不快の気持ち。 きび。「~の悪い話」「いい~だ」
(2)幾分, そのような傾向があること。「社会不安の~がある」「慢心の~」
→ ぎみ(気味)(3)香りと味と。「喉乾き口損じて, ~も皆忘れにけり/盛衰記 11」
(4)けはい。 おもむき。「道をたのしぶより~ふかきはなし/徒然 174」
→ ぎみ(気味)~がい・い(快く思っていない人の失敗や不幸などを見て)胸がすくさまである。 いい気味だ。~が悪・い何となく恐ろしく, 気持ちがよくない。 うすきみ悪い。IIIきみ【鬼魅】おに。 ばけもの。 妖怪。IV「生有る物を殺して~に祭を備へて/今昔 18」
きみ【黄み】黄色を帯びていること。V「~の勝った色調」
きみ【黄身】鳥の卵の中の, 卵白(白身)に包まれた丸い黄色の部分。 卵黄(ランオウ)。→ 卵黄VIきみ【黍・稷】植物キビの古名。「梨棗(ナツメ)~に粟次ぎ延(ハ)ふ葛の後も逢はむと/万葉 3834」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.